リトルペンギン:ハリーの冒険

お兄ちゃんペンギンの誕生日

リトルペンギン:ハリー!

山田みち子の幸せなリトルペンギン。「お父さん、お母さん、いってらっしゃい!」見送るリトルペンギンのハリーと弟や妹。

今日はハリーの1歳のお誕生日!なのに、お父さんとお母さんはお仕事で、お隣の島へお魚を獲りに行ってしまったんだ。「ごめんね、ハリー。でも、お土産はてんこ盛りだよ!」

「キラキラのアンチョビ!」「ぷりぷりのイカやタコも!」

お父さんとお母さんのにっこり笑顔と、おいしそうなお土産の話に、弟や妹たちは「わーい!」と大喜び。

「ハリー、お兄ちゃん。弟と妹たちのことを、お願いね!」

お父さんは、一番しっかり者のハリーに、そっと目配せをしたんだ。

帰らない家族と、ふしぎなうわさ

ところが、日が暮れても、次の日になっても、お父さんとお母さんは帰ってこない。

お隣のおじさん、おばさんペンギンたちは、みんなぞろぞろ帰ってきたのに……。

「おかしいなぁ?」「もしかして、何かあったんじゃろうか?」

普段は岩穴でひっそりしている、一番年上のおじいちゃんペンギン、ジャックまでもが、心配そうに顔を出した。

そんなある日、大きなフリッパーをバタバタさせて、大きなペンギンがやってきた。背丈は、ハリーよりずっと大きい!

彼はまわりをキョロキョロ見て、体には似合わない、ひそひそ声で言ったんだ。

「も、もしかしたら……パラクーダのせいかもしれんぞ……。」

パラクーダ? 何それ?

ハリーたち若いペンギンは、その名前を初めて聞いた。でも、ジャックおじいちゃんは、その言葉を聞くと、ギョッとして顔が真っ青になったんだ。

パラクーダってなんだ!?

山田みち子の幸せなリトルペンギン。生きる魚雷ともいわれるパラクーダ。本当はパラクーダもっと怖い。


「パラクーダって、そんなに恐ろしいの?」

ハリーは、お父さんとお母さんを探すために、パラクーダについて調べ始めた。ハリーは好奇心と勇気なら、誰にも負けない!

パラクーダに会って逃げたことのあるペンギンたちは、みんなブルブル震えながら言った。

「あれは、極悪魚!弱いところなんて、カケラもない。サメより早い海のオニだ!」 「出会ったら、ただ逃げるしかない。でも、奴らはチームになって、生きている魚雷みたいにビューン!と突っ込んでくるんだ。逃げ切るのは、神様でも無理だよ!」

「パクリと一口……」という心ない言葉に、ハリーは悔し涙がポロポロこぼれた。

でも、涙が止まると、ハリーの心に新しい勇気がブクブクと湧き上がってきた!

「絶対に、お父さんとお母さんを見つけて、解決する方法を見つけるぞ!」

成長したハリー

それから月日が流れた。

ハリーは、弟や妹たちを守るため、毎日毎日、よく食べ、よく泳ぎ、よく動いた。みんなより背が高くなり、背丈は50センチを超える立派なお兄ちゃんペンギンになった!

山田みち子の幸せなリトルペンギン。両親の留守の間、ハリーは、弟や妹たちを守るため、毎日毎日、よく食べ、よく泳ぎ、よく動いた。

弟と妹は、ハリーをお父さんのように頼りにして、みんな幸せに暮らしていた。

山田みち子の幸せなリトルペンギン。両親の留守の間、ハリーは、弟や妹たちを守るため、毎日毎日、よく食べ、よく泳ぎ、よく動いた。そしてよく遊んだ。

海のピンチ!

ところが、ある日、空がドヨーンと暗くなり、海鳥たちがキーキーと騒ぎ出した。

ジャックおじいちゃんに聞くと、「これは不吉な知らせじゃ。海でよくないことが起きるかもしれん……」とゴクリと唾を飲んだ。

そして、間もなく、新しい知らせが大急ぎで届いた!

「大変だ!パラクーダの群れが、冷たい潮に乗って、こっちに向かってくる!」 「パラクーダだ!あの生きる魚雷たちが、こんなに近くまで!」

山田みち子の幸せなリトルペンギン。生きる魚雷、パラクーダが襲ってくる。ペンギンたちは怖い怖いと恐ろしがる
わあ! こわい こわい

ハリーの「4つの作戦」

どうしよう!逃げられない、弱点がない、あの生きる魚雷に、どうやって立ち向かえばいいんだ!?

みんながアタフタしている中、ハリーは静かに考え、ひらめいた!

「そうだ!みんなが得意なことをすればいいんだ!」

ハリーは、みんなを守るための特別な4つの作戦を発表したよ!

「フクロウの目」作戦!
目が飛び抜けていいペンギンは、一番先頭に立って、見張り番をお願いします!パラクーダがどこから来るか、だれよりも早く見つけて教えてね。

「イルカの泳ぎ」作戦!
泳ぎが得意なペンギンは、一番後ろで、クルクルと元気いっぱいに泳ぎ回ってね!パラクーダの目くらましにするんだ!

「プカプカ浮き輪」作戦!
泳ぎも目もフツーのペンギンは、海面にプカーッと浮かんで動かないで!パラクーダには、下を通り過ぎてもらいましょう。

「お昼寝タイム」作戦!
「プカプカ浮き輪」作戦も ちょっと大変なペンギンは、陸に上がって、お日様の下でお昼寝をしていてね!

この作戦は、みんなが好きなこと、得意なことを選べる作戦!

みんなで力を合わせて!

ハリーの「4つの作戦」を聞いて、みんなは大喜び!

「それならできる!」「なんだか楽しそうだぞ!」

勇敢なペンギンは見張り番に。元気なペンギンは目くらましに。おっとりしたペンギンはプカプカ浮き輪に!

みんながハリーの作戦通りに行動したおかげで、パラクーダの群れは大混乱!リトルペンギンたちは、命を守ることができたんだ!

その後、リトルペンギン・ハリーは、みんなの意見を大切にしながら、ペンギンたちのリーダーとして、ずっとずっとみんなの命を救い、幸せを守ったとさ。

山田みち子の幸せなリトルペンギン。ちょっとコミカルに描きました。パラクーダの去ったあと、リトルペンギンたちは幸せにくらしましたとさ。

おしまい!

質問
ハリーは、どうしてお父さんとお母さんを見つけようと思ったのかな?

回答
ハリーが家族を探した理由:
ハリーがお父さんとお母さんを探し、パラクーダと戦う方法を見つけようと強く決心したのは、「まだ本当の自信を持てていなかった」からです。

ハリーは、お父さんに「お兄ちゃん、弟や妹の世話をよろしく」と頼まれましたが、それは一時的な役目だと思っていました。

本当は、「自分一人で弟や妹を、最後まで守りきれるだろうか?」という不安が心の中にあったのです。

不安をなくしたい:
頼りになる両親がそばに戻ってきてくれれば、その不安は消えます。両親の笑顔と存在が、何よりもハリーの安心につながったからです。

「お兄ちゃん」としての試練:
両親がいない間、ハリーは強制的にみんなを守るリーダーになりました。しかし、この試練を乗り越えることで、ハリーは本当の強さと自信を見つけ、最後には「両親がいなくても、自分は大丈夫だ」と自立できたのです。
ハリーの「両親を探したい」という気持ちは、実は「頼りない自分を変えたい」という成長への強い願いだったのですね。

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