リトルペンギン冒険2

ハリー一家のドタバタ日記


オーストラリア南側の半島に住む、ちょっとおっちょこちょいだけど、愛情いっぱいのリトルペンギン一家のお話だよ!

巣穴の貴公子ハリーとアタック女王メリー

リトルペンギン界で知らぬ者はいない、イケメンハリー。彼は「勇気と知恵」を持つ…と本人は思っているけど、実はちょっとドジ。でも、泳ぎの速さだけは世界チャンピオン級だ。そんなハリーに目をつけたのが、健康的な元気娘、メリー!

メリー:
「ちょっと、そこのハリー!あなたのそのムキムキのフリッパー(ヒレ)と、遠くを見つめるクールなに、わたし、メロメロよ!」

ハリー:
「え、え、僕? フリッパー?…まあ、たくましいって言われるのは慣れてるけど…」

メリーは、ハリーが自慢の「特製・防犯ばっちり・リバーサイド巣穴」を見せてくれた時、ついに猛アタックを開始した!

ハリーの巣穴は、亡くなったおじいちゃんペンギン仕込みの知恵で、小川の横の最高の場所に掘られていた。日当たりよし、水はけよし、隠れんぼにも最適!

メリー:
「すっ、すごーい!この丸いエントランス、まるで高級ホテルのスイート!ハリー、もう決めた!好き!好き好き、だーい好き!わたしの未来の旦那様になって!」

メリーの積極性に、ハリーはタジタジ。だが、彼女の底抜けの明るさに心を撃ち抜かれ、「ふむ…彼女となら、毎日がお祭り騒ぎになりそうだ」と納得。こうして、ハリーはメリーを一生のパートナーに選んだ。恋の炎がめらめらと燃え上がる、アツアツの新婚生活がスタートだ!

ハリーのドカン腹と卵の登場

新婚生活で一番の見どころは、ハリーの「エサ取り・大成功ショー」だ。
ハリーは、魚を腹いっぱいに詰めて戻ってくる。普段はスラッと細身なのに、エサ取りから戻る時のハリーときたら…!まるで、水族館の巨大水槽が、歩いているみたいな「ドカン腹」だ!

ハリー:
「フーッ、フーッ。さあ、メリー!見ておくれ!今日の晩餐だ!全部お前への愛のしるしだ!」

メリー:
「わーい!待ってました、ハリーの移動式冷蔵庫!

ハリーが巣穴で、そのドカン腹から「グプッ!」と魚を吐き出す姿は、幸せそのもの。メリーは、それを見るのが楽しくて、パクパク食べながら大満足!

そして、ついにその日が来た!
「ポコッ」と大きな卵🥚、「ポコポコ」と間をあけずに少し小さな卵🥚。2つの宝物が誕生した!

ハリーとメリーは、交代で卵を温める「おしり当てっこゲーム」を開始。ある日、ハリーがメリーのくすぐったいお尻を間違って温めそうになったのは、夫婦だけの秘密だ。

名コンビ、ウィルとベス誕生!

1ヶ月ちょっと後、「ピキッ、ピキッ」と殻にひびが入り、かわいいベビーペンギンが2羽、ついに顔を出した!

ハリー:
ハロー、マイ・べーびぃズ!うわ〜、この鳴き声!僕そっくりだ!カワイイ!」

メリー:
「あら、ハリー。私に似たカワイイ顔よ。」

先に生まれたウィルは、少し大きくて、お父さん譲りの「氷上のスケート」と「爆速スイミング」の才能を持っていた。

一方、妹のベスは、ちょっと小さいけど、食欲はウィルの2倍!そして、頭の回転が速いだけでなく、巣穴のレイアウトを考える創造力がズバ抜けていた!

ベス:
「この巣穴、ちょっとごちゃついてるわね。ウィル兄ちゃん、あなたはそこの隅っこ担当!私はこの土を掘って、『ベス専用・秘密の隠し部屋』を作るから!」

ベスの設計図はいつも斬新で、いつの間にか巣穴はどんどん奥深く、広くなっていった。メリーは、「うちの子たち、才能あふれてるわ〜」と、ハリーと同じ鳴き声(「クワック!クワック!」)で喜ぶ子どもたちを見て、大満足だった。

留守番ペンギン、命がけの戦い!

子どもたちが大きくなると、必要な魚の量もメガサイズに!ハリーとメリーは、「まるで新婚旅行!」とルンルン気分で、海へエサ取りに出かけるようになった。

しかし、留守番のウィルとベスには、危険が待ち受けていた。

ある日、空から、目つきの悪い海ワシが急降下!
ウィル:
「うわぁ!また来たな、あの空飛ぶ泥棒!」

ウィルは逃げ遅れて、ワシの鋭いツメがウィルの頭の毛をかすめる! ベスは、咄嗟に巣穴にUターンし、貯蔵庫の特大の魚をブン投げた!

ベス:
「ハイッ!海ワシさん!こっちの特上マグロのほうが、ウィル兄ちゃんの骨と皮だらけより、ずーっと美味しいわよ!」

海ワシは、美味しそうな魚をくわえるやいなや、満足げに「キー!」と叫んで飛び去った。

ウィル:
「ふぅ〜…危機一髪!ベス、君のマグロ投法、最高だ!ありがとう!」

別の日には、もっとヒヤリとする出来事が!
巣穴に、鼻をヒクヒクさせたキツネが、お尻を突き出して入り込んできたのだ!

ベスは散歩から戻ると、巣穴から飛び出た、そのモフモフのオレンジ色のお尻にびっくり仰天!

ベス:
「キャー!巨大なオレンジの塊が巣穴に入ってるー!」



ベスは、猛スピードで近くの保護区の売店に直行!ヒレをバタバタさせて、「クワック!クワッククワック!」と、泣きながら助けを求めた。

売店のペーターおじいさんは、いつも落ち着いているベスが、まるで高速回転するプロペラのようにヒレを動かしているのを見て、すぐに「大変だ!」と察した。

ペーター:
「よし、行くぞ!キツネめ、このわしのテリトリーで悪さはさせん!」
ペーターおじいさんは大慌てで駆けつけ、巣穴のお尻に、特大のバケツを「バコッ!」と被せた。キツネは驚いて、バケツを振り払うやいなや、一目散に逃げ出した!

お父さんの「灯台」

「一難去ってまた一難」の留守番を乗り越え、ついにお父さんのハリーが、あのドカン腹を抱えて帰ってきた!

ハリー:
「クワック!クワック!」
ウィル、ベス、そして、すでに2回目の卵を温め始めていたお母さんのメリーまで、大喜びで叫んだ。

みんな:
「お父さん、おかえりー!!」

ハリーは、留守番の大変さを誰よりも知っていた。海ワシ、キツネ、そして、人間が置き去りにしたゴミ…。外の世界は怖いことだらけ。

ハリー:「みんな、よく頑張った!世界は広い。100キロ先まで泳いで行ってみると、また全然違う世界が広がっているんだ!」

父親の壮大な話に、全員、目をキラキラさせて耳を傾ける。
でも、妹のベスが、パステルイエローの口元を尖らせて、最もな疑問を投げかけた。

ベス:
「ねえ、お父ちゃん。そんな遠くまで行ったら、帰り道がわからなくなるんじゃない?」

ハリーは、「ハッハッハ!」と大きな声で笑い飛ばした。

ハリー:
「大丈夫だ!お父ちゃんには、すごいナビゲーションシステムがついているんだ!」

そう言うと、ハリーは自分の頭を指差した。

ハリー:「ここには、大きな灯台があって、泳いでいる間もずっと、『この方向に進め!』って指示を出してくれるんだ。ウィル、君の頭の中にもあるんだよ!」

ハリーはゆっくりと、話を続けた。

ハリー:
「お金(食べるもの)、健康、住まい。みんな大切だ。でも、本当に大切なのは、この『心の灯台』なんだ。これが一番最高のナビゲーションだ!」

ベス:
「お父ちゃんには、『おバカな子には見えないすごいナビ』が付いてるんだね!」

その言葉に、ハリー一家は全員大爆笑!それは、全員が揃って笑った、賑やかな最後の晩餐となった。

翌日、ウィルは海の世界を学び、無敵のナビゲーションを身につけるために旅立ち、ベスは2キロ先の巣穴で待つ、恋人ペンギンのピエールに会うため、新しい巣穴のアイデアを頭に詰め込んで歩いて行った。

ハリーとメリーは、今も毎年、愛情いっぱいの卵を温めているらしい。そして、彼らの巣穴は、ベスのおかげで、もはや迷路のように複雑になっているとかいないとか…?

おしまい!

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