二つの国の物語

山田みち子とMicrosoft Copilotの共創。二つの国の物語

二つの国の物語

なかよし「東のほほえみ国」と「西のきらめき国」

むかしむかし、地球のどこか、まるでおとぎ話に出てくるような美しい場所に、二つの小さな国がありました。

東側にあるのは、「ほほえみ国」。人々は働き者で、おいしい果物や、太陽みたいに明るい色の布を作るのが得意でした。

西側にあるのは、「きらめき国」。こちらは、きらきらと光る宝石や、丈夫で美しい木工品、そして何より、寒い冬を乗り切るための温かい毛織物を作るのが上手でした。

二つの国の間には、「わかちあいの川」と呼ばれる、広くて大きな川が流れていました。

夏は、キラキラと魚がはねる青い川。そして、冬になると、その名の通り、分厚く、頑丈な氷でおおいつくされ、まるで巨大な橋のようになりました。

山田みち子とMicrosoft Copilotの共創。なかよし「東のほほえみ国」と「西のきらめき国」

ほほえみ国ときらめき国の人々は、この川が凍るのを毎年心待ちにしていました。なぜなら、川が凍ると、お互いの国へ行き来して、足りないものを交換し、助け合うことができたからです。

ほほえみ国からは、甘いリンゴと赤い布。きらめき国からは、ふかふかのマフラーとピカピカの木のおもちゃ。

二つの国は、まるで一つの大きな家族のように、とっても仲良しでした。

やってきた、黒い影

山田みち子とMicrosoft Copilotの共創。やってきた、黒い影

ところが、そんな平和な日々に、ある年、黒い影が差し込みました。

それは、遠い北の果てにある、「ドドーンとでっかい国」の軍隊でした。ドドーンとでっかい国の王様はがめつい王」と呼ばれ、いつも「もっと、もっと」と、人のものを欲しがる人でした。

ある日、ドドーンとでっかい国の、鉄のよろいをまとった軍隊が、突然ほほえみ国にやってきました。

彼らは、ほほえみ国の宝物である、色とりどりの果物と布を力ずくで取り上げてしまいました。

「これで、東のほほえみ国は、わしのものじゃ!」

がめつい王は、次に目をギラつかせました。

「さて、次は西のきらめき国じゃ!あそこのきらきら光る宝石と、あったかい毛布も、全部わしのものにしてしまえ!

季節は、一年で最も寒い、真冬の真っ最中でした。わかちあいの川は、分厚く、頑丈な氷におおわれています。

がめつい王は、部下である「いばり将軍」に命令しました。

「いばり将軍よ!今すぐに全軍を率い、氷の橋を渡って、きらめき国を攻め落とせ!さあ、突撃じゃあ!

山田みち子とMicrosoft Copilotの共創。やってきた、黒い影

氷の橋を渡る、軍隊

いばり将軍は、冷たい風に身を震わせながらも、「おおっ!」と大きな声を上げ、軍隊を率いて、凍ったわかちあいの川へ踏み出しました。

ドドーンとでっかい国の軍人たちは、重たいよろいと武器のせいで、足音が「ゴトッ、ゴトッ」と鈍く響き、氷の上をぞろぞろと進んでいきました。

きらめき国の人々は、この恐ろしい敵の姿を見て、ふるえながらも、どうすることもできずに、ただ見つめることしかできませんでした。

軍隊が、川のちょうど真ん中あたりまで来た、その時です。

「バリバリバリッ!」

山田みち子とMicrosoft Copilotの共創。氷の橋を渡る、軍隊

突然、彼らの足元の氷が、地鳴りのような、恐ろしい音を立ててひび割れ始めました!

「な、なんだ!?」いばり将軍が叫びました。

そして、ひび割れは、あっという間に広がり、軍隊の真下で、大きな氷の塊が、メキメキと持ち上がり始めたのです!

水中に隠された秘密

軍人たちは驚いて、あわてて引き返そうとしましたが、もう遅い!彼らが通ってきた道の氷も、「バリバリッ!パリーン!」と、次々に割れていきました。川岸まで、逃げ道はもうありません。

「ドッボーン!」「ヒャアアア!」

重たいよろいと武器を持った軍人たちは、バランスを崩し、冷たい川の中へ次から次へと落ちていきました。彼らの怒鳴り声や、水の音で、辺りは大混乱です。

実は、この川の底には、大きな秘密が隠されていたのです。

その秘密とは、川に住むたくさんのイルカクジラでした!彼らは、凍るように冷たい川の中で、大きな体で分厚い氷を、下から一生懸命持ち上げて、割っていたのです!

小さな命を救った、大きなやさしさ

なぜ、イルカやクジラが、そこまでして二つの国を助けたのでしょう?

それは、今から何年か前の、暑い暑い夏のことでした。

わかちあいの川の水位が、日照りでとても低くなってしまった時、遊びに来ていた幼いイルカと、病気で弱っていた小さなクジラの親子が、川岸の熱い砂の上で、動けなくなってしまったことがありました。

ほほえみ国ときらめき国の人々は、それを見て、大急ぎで駆けつけました。彼らは、大きなバケツで何度も水をかけて体を冷やし、涼しい草の陰へ運びました。

そして、元気が出るまで、新鮮な魚を運んで、熱心にお世話を続けたのです。

山田みち子とMicrosoft Copilotの共創。小さな命を救った、大きなやさしさ

あの時、助けられたイルカとクジラたちは、川の底で、その時の人間たちの大きなやさしさを、決して忘れていなかったのです。

だから、自分たちができる、一番の恩返しとして、力を合わせ、氷を割り、小さな国々を悪い軍隊から守ったのでした。

「イルカ、いないか?」

軍隊のほとんどが冷たい川に落ち、逃げ場を失ったのは、がめつい王と、彼に最後まで付き従っていた、一人の側近だけでした。

震え上がったがめつい王は、割れた氷の隙間から見えた、イルカの尾びれを指さし、顔を真っ青にして、ふるえながらつぶやきました。

「い、イルカいないか?」

側近は、もはや王様を敬う気持ちなど、どこかへ飛んでいってしまっていました。彼は、王様の顔をじっと見て、大声で怒鳴りました。

「王様!こんな時に、そんなバカな冗談を言っている場合ではありません!あの氷の下にいるのは、イルカやクジラに違いありません!ここはもう、逃げましょう!

側近は、王様を見捨てて、一目散に岸へと逃げ出しました。がめつい王は、たった一人、割れかけた氷の上で、「イルカ、いないか…」と、助けを求めるように何度も何度もつぶやいたそうです。

お城に戻っても、同じ言葉「イルカ いないか」だけを繰り返していました。もう二度と「とつげき!」とか「せめるぞ!」という言葉は使わなくなりました。

山田みち子とMicrosoft Copilotの共創。イルカ、いないか?

友情は永遠の宝物

こうして、ドドーンとでっかい国の軍隊は、水びたしになり、恥ずかしそうに、すごすごと自分の国へ逃げ帰っていきました。

助かったほほえみ国ときらめき国の人々は、大喜びで氷の橋の上で抱き合いました。彼らは、自分たちを救ってくれた、目に見えない恩人たちに、心から感謝しました。

その後、二つの小さな国は、以前にもまして、お互いに助け合い、支え合いながら暮らしました。

わかちあいの川のほとりでは、冬が来るたびに、人々が川の生き物に感謝の気持ちを込めて、美しい歌を歌うようになりました。

山田みち子とMicrosoft Copilotの共創。友情は永遠の宝物

そして、ほほえみ国ときらめき国は、いつまでも豊かに、そして、幸せに暮らしたとさ。

めでたし、めでたし。

山田みち子とMicrosoft Copilotの共創

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