氷室椿庭園のツバキ探訪

侘び寂び華やぎ競演! 品種名が分からなくても椿は楽しめる。

氷室椿庭園の椿図鑑&歴史探訪

1 氷室椿庭園の椿図鑑

3月上旬、春の穏やかな陽射しに誘われて、茅ヶ崎市にある「氷室椿庭園(ひむろつばきていえん)」を訪れた。約250種1,000本もの椿が植えられたこの場所は、まさに椿のワンダーランド。

夢中でシャッターを切った結果、手元には50枚以上の写真が!残念ながら一つ一つの品種名は正確に分かりませんが、その圧倒的な美しさは、色や咲き方の違いを知るだけで、もっと深く楽しめるはず。このブログはそんなあなたをご案内します。

氷室椿庭園の椿図鑑
photo by Mr.Soutan

これから、庭園で出会ったツバキを、「色」と「咲き方」の観点から徹底紹介。さらに、「ツバキと日本の歴史・文化」の深い繋がりにも触れていきます。品種名を全部、知らなくても、ツバキの魅力に引き込まれること間違いなし!

写真で楽しむ椿の基本の「き」
「まずは、私が撮った写真の中から、ツバキの個性的なバリエーションをご紹介します。名前を知らなくても、ぜひ『この色が好き』『この形が面白い』という視点で見てみてください。」

1-1【色の競演】鮮やかさで分類

ツバキといえば「赤」を思い浮かべますが、氷室椿庭園には、息をのむほど純粋な「白」、優しく可愛らしい「淡いピンク」、そして一つの花に複数の色が混ざる「絞り(しぼり)」や「斑入り(ふいり)」など、色とりどりのツバキが咲き誇っています。

深紅のツバキ:

力強い赤は、見る者に情熱と高潔さを伝えます。光の反射が美しい。花言葉は「控えめな素晴らしさ」「謙虚な美徳」。

深紅のツバキ
photo by Mr.Soutan

純白のツバキ:

寒さに耐えて咲くその姿は、神聖な美しさ。花びらは、花嫁のウエディングドレスのような柔らかい重なりです。花言葉は「完全なる美しさ」「申し分のない魅力」。

純白のツバキ
photo by Mr.Soutan

ピンクのツバキ:

控えめで可憐な印象。若い女性のような瑞々しさ。花言葉にあるように「控えめな愛」「慎み深い」女性のような美しさです。

ピンクのツバキ
photo by Mr.Soutan

1-2【咲き方の妙】形の違い

ツバキの魅力は、花びらの重なり方、つまり「咲き方」にもあります。同じ一輪の花でも、その表情は全く違います。

🍃一重咲き:

シンプルな美しさが際立つ一重咲き。ヤブツバキなど原種に近い形が多く、茶花としても好まれます。その素朴さが「わび・さび」を感じさせます。

一重咲き
photo by Mr.Soutan

💐 八重咲き・千重咲き:

花びらが幾重にも重なり、バラのような豪華絢爛な姿を見せる品種。氷室椿庭園では、花径が10cmを超える大輪の八重咲きにも多く出会えました。まるでブーケのような迫力です。

八重咲き・千重咲き
photo by Mr.Soutan

1-3【私の推し】感動の一輪

① 斑入りの芸術: ピンク地にランダムに入った白の斑点が、まるで水彩画のよう。自然が作り出す色のバランスに感動。

斑点の芸術
photo by Mr.Soutan

② 可憐な少女のような淡いピンク: 幾重にも重なりあう花びらが光に反射して見事なピンク色のグラデーション。

ピンクの重なりの椿
photo by Mr.Soutan

③ふんわりとお姫様のような淡いピンクの椿二輪。

お姫様のような淡いピンクの椿
photo by Mr.Soutan

④赤いバラのようなゴージャスな椿。

赤いバラのようなゴージャスな椿
photo by Mr.Soutan

⑤光に透ける花: 光を浴びて、花びらが透けて見える瞬間を捉えました。繊細な美しさが際立ちます。

繊細な美しい椿
photo by Mr.Soutan

⑥「よろしくね」と甘えるような椿たちの会話。

よろしくねと甘えるような椿の会話
photo by Mr.Soutan

⑦踊りたくなるようなピンクのドレスを身に着けた椿。

ピンクのドレスのような椿
photo by Mr.Soutan

2 椿の歴史:わび・さび

ツバキはただ美しいだけでなく、古くから日本の文化と深く結びついてきました。少し足を止めて、ツバキの歴史を紐解いてみましょう。

2-1遥かなる歴史と文化への帰化

椿は、日本が原産の植物です(ヤブツバキなど)。「日本に帰化」というより、古来より日本に自生し、日本人とともに歩んできた木と言えます。

古事記や万葉集にも登場するツバキは、かつては神が宿る木として信仰の対象でもありました。硬く丈夫な材木は器具に、種子からは「椿油」が採られ、生活に欠かせない重要な植物でした。

ヤブツバキ:日本が原産の植物
photo by Mr.Soutan

2-2禅と茶道が愛した「静寂美」

シンプルで美しい椿(白)

禅と茶道が愛した「静寂美」
photo by Mr.SoutanSONY DSC

ワビスケ・ツバキ(白)

ワビスケツバキ(白)
photo by Mr.Soutan

ツバキが日本の美意識に深く根付くきっかけとなったのが、禅と茶道です。

室町時代以降、茶の湯が発展すると、華美な花を嫌い、簡素な美しさを好む「茶花」として、ワビスケツバキなどの控えめな品種が珍重されました。

この「簡素の中にある美しさ」こそ、日本人の「わび・さび」の原点。豪華な八重咲きではなく、控えめな一重咲きに美を見出す。この精神がツバキを特別な存在にしているのですね。

ワビスケ・ツバキ (赤)

ワビスケツバキ (赤)
photo by Mr.Soutan

2-3「落ち椿」潔さと美意識

ツバキは、桜のように花びらが散るのではなく、花が丸ごと「ぽとり」と落ちる特徴があります。この潔い散り際を、かつて武士たちは「首が落ちる」姿に重ねて忌み嫌った時代もありました。

しかし現代では、地面に落ちた花も一つの景色として愛でる文化が根付いています。苔むした地面に、真っ赤な花が一つ。この「落ち椿」の静かな佇まいこそが、日本的な美の象徴の一つではないでしょうか。山茶花のように、バラバラに落ちるよりも正直、掃除は楽ですね(笑)

潔さと美意識
photo by Mr.Soutan

3.訪れる人へのメッセージ:氷室椿庭園のご案内

最後にこの素晴らしい椿たちに出会える氷室椿庭園について、訪問者の視点からご紹介します。

アクセスと雰囲気

氷室椿庭園は、茅ヶ崎駅から少し離れた閑静な住宅街の中にひっそりと佇んでいます。元は個人の邸宅の庭園だったこともあり、こじんまりとした民家の落ち着いた雰囲気がそのまま残されています。

嬉しいポイント

入場は無料で、誰もが気軽に美しい椿を鑑賞できます。
私たちが訪れた3月上旬〜中旬が見頃です。
(※最新の情報は公式サイトで確認してください。インターネット検索で氷室椿園と入力すると詳細が出てきます。)
園内には、品種名が書かれたプレートもあるので、一つずつ照らし合わせる楽しみもあります。

3 氷室椿庭園とは?

3-1茅ヶ崎市に寄贈された椿たち


この庭園は、三井不動産の元副社長であった氷室捷爾(ひむろしょうじ)の庭園を茅ヶ崎市が寄贈を受け、市民に公開されているものです。

特に注目したいのは、ここに植えられているツバキの多くが、(財)日本ナショナルトラストの「ツバキ保存指定園」に認定・登録されていることです。これは、日本のツバキの多様な品種を保護・継承する上で、非常に重要な役割を果たしていることを意味します。

つまり、私たちはここで、歴史的・文化的に価値のある、特別なツバキたちに出会っているのです。

「控えめな優しさ」と「誇り」
photo by Mr.Soutan

品種名が分からなくても、色、咲き方、そしてツバキの背景にある日本の美意識を知るだけで、花の鑑賞はもっと深くなります。

皆さんもぜひ、静かで心安らぐ氷室椿庭園を訪れ、自分だけの「推し」の一輪を探してみてはいかがでしょうか。その一輪はきっと、あなたに「控えめな優しさ」と「誇り」という名の感動を与えてくれるはずです。

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