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7月の尾瀬の美を撮る

7月の尾瀬に咲き誇るニッコウキスゲとワタスゲを撮影。美しい黄色のニッコウキスゲ、ふわふわしたワタスゲが彩りを添えていた。その圧倒的な存在感に心奪われた。

ニッコウキスゲ

ニッコウキスゲ
ニッコウキスゲ、

ニッコウキスゲは6本の雄しべ、1本の長い雌しべ、花びらは内側に3枚、外側に3枚、計6枚。ワスレグサ属の多年草。

ニッコウキスゲとは?

ニッコウキスゲは一日花

朝に開花し、夕方にはしぼんでしまう一日花。一株で約一週間という短い命。強烈な黄色で草原を染めてしまうがあっという間に消えてしまう。登山客にとって鮮明な映像を与えてくれる花。

Mr.Soutanの写真術:3つのコツ

①これと思う花にピントを合わせる

②コントラストを考える

③反射率が高い黄色は光の向きを探す

①これと思う一本にピントを合わせる

早朝、尾瀬の湿地帯を歩いていると見事に咲いている一輪に出会う。ラッキー!でも、できるだけゆっくりカメラを向け、シャッターを切る。慌てないことが大切。ニッコウキスゲは逃げ出さない。落ち着いて構えてから、ゆっくり撮ろう。

背景をぼかすと黄色いニッコウキスゲの美が強調される。

背景をぼかすことで、黄色いニッコウキスゲが生き生きする。

ダイナミックな構図を撮るには広角。遠近感が演出できる。

ダイナミックな構図を撮るには広角。遠近感が演出できる。

遠くのニッコウキスゲをぼかすことで、前景の主役を際立てる。

黄色いニッコウキスゲ

湿地帯を黄色で埋め尽くす

湿地帯を黄色で埋め尽くす

木道の周辺にも咲き乱れる

木道の周辺にも咲き乱れる

木道に寄り添って咲くニッコウキスゲ

ニッコウキスゲの花言葉

「日々新たに」「心安らぐ」

「日々新たに」は日々新しい花が咲くことから生じた花言葉。でも、「心安らぐ」はどこから? 黄色は緊張感のある色。人々に注意を促す視認性のある色。心安らぐ色とは思えない。

以前、山田洋次監督、高倉健主演の映画 「幸福の黄色いハンカチ」を見た時、一番印象に残ったのは、最初の慌ただしい武田鉄矢のトイレ探し。演技力抜群だった記憶が残る。

最後に黄色いハンカチが鯉のぼりのようにたなびいていたのを見てほっと安らぎを覚えた。あれが多分「心安らぐ」の由来かもしれない。

②コントラストを考える

コントラストが強い:被写体の立体感、存在感を引き出す。
コントラストが弱い:ソフトで落ち着いた雰囲気を出す。

◆明暗のコントラスト
最も明るい部分と最も暗い部分との差をつける。

前景の明るい草地と遠景の木々の暗さが程よいコントラストで、奥行き感を表現し、全体を引き締めている。

明暗のコントラスト


◆色のコントラスト
補色、あるいは暖色系の色と寒色系の色を対比させる。

黄色いニッコウキスゲと緑色の草地。木々の濃い緑と青い山並み。水平線のような水面の淡い水色。これらの色のコントラストで奥行き感や広がり、写真全体に深みを増している。

色のコントラスト

背景に緑や青などの寒色系を入れる

色のコントラストは遠近感や広がりを強調する。
黄色の対象物は白と同様、反射率が高いので撮影は難しい。しかし、寒色系の緑色を背景に入れることで、主役のニッコウキスゲが前進する。

📱スマホでコントラストを強くする方法
設定>アクセシビリティ>画像表示とテキストサイズをあげるONに設定する。

登山客を構図に入れる理由

風景の中の人物は後ろ姿をお勧め

人物を入れることで、他の写真と差別化できる。しかも後ろ姿。後ろ姿なら誰だか判別できない。風景に人物を配置するときは、できるだけ後ろ姿をお勧め。

前向きではどうしてもプライバシーが問題視される。また、ブログを偶然見て、肖像権侵害などといわれ、損害賠償を請求される可能性もある。

風景の中の人物は後ろ姿をお勧め

愛らしいニッコウキスゲが登山客にご挨拶「Welcome!」

愛らしいニッコウキスゲが登山客にご挨拶「Welcom!」

木道は奥行き感を表現する最適なツール。
もちろん主役はニッコウキスゲですが。

黄色い色は花の世界では一番多い。しかし、黄色が好きかと問われると「黄色い花なら好きだが、衣類にはちょっと」そんな人が多いのは、やはり黄色が目立ち過ぎるから?

ワタスゲとニッコウキスゲ

大群落のワタスゲ

ニッコウキスゲをワタスゲが引き立てる

尾瀬の7月は高山植物が咲き乱れる。その中で大群落のワタスゲは人々を驚かす。
「あのふわふわした綿みたいな花は何?」
知らない人でもつい「ワタ」といってしまう綿のような花。

ニッコウキスゲをワタスゲが引き立てる

ワタスゲがまるで丸ボケ(Circular bokeh)のように、 ニッコウキスゲを引き立てる。

まるで丸ボケ(Circular bokeh) ニッコウキスゲを引き立てる。

弱いコントラストは写真全体を優しい表情にする。
ワタスゲ、ニッコウキスゲ、中景に個性的な白樺、右側に濃い緑の木、そして遠景に青緑の木々のが重なり合った森。
奥行き感、広々とした空間、色の重なりが美しいハーモニーとなり、繊細な風景を作り出している。

弱いコントラストは写真全体を優しい表情にする。

光の方向とカメラワーク

③黄色は反射率が高いので光の向きを探す

正面から撮るか?、側面から撮るか?それとも逆光にするか?
光の方向をどうするかが撮影者の腕の見せ所。美しいニッコウキスゲと愛らしいワタスゲのコラボをどう撮影したらいいかを落ち着いて探そう。また、花びらが光っている雰囲気を表現したい時は、逆光を試してみるのも楽しさ倍増。

黄色は反射率が高いので光の向きを探す

黄色を前面に押し出す際、濃い緑やワタスゲのような白い色を入れることで、遠近感、質感、奥行き感、物語までが表現できる。

ワタスゲの花期は5~6月。白い綿毛をつける果期は6~8月。花が終わると、直径2~3cmの白いふわふわした綿毛をつける。

撮影した写真をちょっとだけ加工。デジタルカメラになった今、様々な画像ソフトで加工して遊ぶのも楽しい!

Photoshopのエフェクトで加工

水芭蕉とニッコウキスゲをYouTubeで公開

毎月1日と15日に更新。お楽しみに!

黄色いニッコウキスゲを見ていたら、バナナやレモン、オレンジなどを思い出しました。ぜひ楽天でお買い求めください。美味しいですよ!

💑ニッコウキスゲ 湿生植物(1ポット)


💑ニッコウキスゲ(20ポット)


💑めずらしい国産オレンジ (和歌山産)


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6月の尾瀬の美を撮る

「夏が来れば思い出す はるかな尾瀬 遠い空」名曲「夏の思い出」は、1949年にラジオ番組で放送された。その後「尾瀬ってどこ?」「水芭蕉ってなに?」の尾瀬ブームが始まった。

尾瀬は日本列島のほぼ中央に位置し、福島県・栃木県・群馬県・新潟県の4県にまたがり、東京ドーム約8,000個分の広さ。
尾瀬ヶ原の標高が1,400m。尾瀬沼が標高1,660m。
周囲には燧ヶ岳(ひうちがたけ)、至仏山(しぶつさん)、会津駒ヶ岳、田代山、平ヶ岳など、さまざまな山があり、そこから流れる水が水芭蕉を生育している。

尾瀬の魅力は湿原の美しさ、高山植物、湖沼などの自然環境、そして学術的価値の高さが挙げられる。

そんな魅力あふれる尾瀬にカメラを担いで登る途中で、若い女の子たちが苦しそうな呼吸で話しているのを耳にした。
「テレビでは広々とした湿地帯を人々が歩いているだけ、しかも平坦な木道を。ちがうじゃん」

尾瀬ヶ原が1,400mの標高とはテレビでは放映していない。平坦な湿地帯を、のんびり歩く姿だけを映像で見ただけの彼女たちはとにかく軽装。認知度が上がったのはいいけど、大切な自然を守る意識がどこまであるのか心配になった。

まあ、それはともかく、重いカメラを持ってきた目的は山々と湿原の風景、そして水芭蕉を撮影するぞと意識を集中させた。

可憐な水芭蕉には誰もが魅了される

水芭蕉の咲く尾瀬を撮影

山や水芭蕉を撮る3つのコツ

Mr.Soutanの写真術:山や水芭蕉を撮る3つのコツ

①風景写真では地平線の位置が大切

②白い花を撮る時はホワイトバランス調整

③水芭蕉を下から撮るので下半身を鍛える

尾瀬の山々

至仏山と燧ケ岳

至仏山(しぶつさん)

①風景写真では地平線の位置が大切

雪化粧がまだ残る標高2,228m 至仏山(花の宝庫)

地平線をどこにとるかは構図の基本。山が主役なら地平線を三分割の一番下の部分にして撮る。

至仏山(しぶつさん)

至仏山から海底の古生物「ウミユリ」の化石が発掘された。 山の鼻ビジターセンターにウミユリの化石が展示してある。興味のある方はぜひ立ち寄って、ご覧ください。

燧ケ岳(ひうちがたけ)

尾瀬ヶ原と尾瀬沼の産みの母?

燧ヶ岳(ひうちがたけ)標高2,356m
福島県の最高峰。数万年前に燧ケ岳の噴火により只見川や沼尻川がせき止められて、尾瀬ヶ原と尾瀬沼が誕生した。

そびえ立つ燧ケ岳

聳え立つ燧ケ岳

なぜ木道がある?

木道は、ぬかるんだ湿原を歩きやすくするために設置された。また、湿原を保護するためにも木道が整備されている。

水芭蕉の群生と燧ケ岳

左側に木道、右側に水芭蕉、その先に白樺や雑木林。遠方に燧ケ岳。風景の中で大切な遠近感を表現するには木道が重要な役目を持っている。奥に行くにつれて細くなる木道。それが山へと向かっている。この構図を得た瞬間、重いカメラが急に軽くなった。

水芭蕉の群生と燧ケ岳

水芭蕉の思い出

水芭蕉の英名は?

こんなに日本では愛され親しまれている水芭蕉。英語に訳すると「white skunk cabbage」(白いスカンクのキャベツ)

水芭蕉が白いスカンクとは何ごと?

アメリカで見た時の水芭蕉は黄色だった。しかも強烈な悪臭。クロユリを思い出して、慌てて鼻を遠ざけた。でも、日本の水芭蕉はほんのり甘い香りがする。世界に水芭蕉はこの二種類といわれても、納得できない自分がいた。確かに形は似ているが。

ちなみに水芭蕉の花言葉は葉に包まれて咲く姿にどこか懐かしさと美しさを感じることから「変わらぬ美しさ」。これは同感。

写真で水芭蕉をご案内

主役が水芭蕉。構図の80%を使う。

写真で尾瀬の水芭蕉をご案内

水芭蕉が群生で咲く理由?

水芭蕉は種を水の流れで運ぶので、川沿いに沿って芽を出す。だから、清流の流れる尾瀬は最適な環境。

水芭蕉が群生で咲く理由?

子孫繫栄は尾瀬の清流のおかげです。

ヒグマの大好物は水芭蕉の根っこ

ヒグマは冬眠する前に水芭蕉の根っこを食べて毒素を排出してから、クマザサを食べ、体内を浄化させてから冬眠。目が覚めると美しい花を咲かせる水芭蕉を愛でる。
「秋になったら、食べてやるぞ! 美味しくなれ!」
ヒグマが思っているかどうかは知らないが。

ヒグマの大好物は水芭蕉の根っこ

水芭蕉の魅力

清流が水芭蕉を育てる

「おぜ」とは「尾瀬」あるいは「生瀬」。「浅い水湖中に草木の生えた状態」つまり湿原の意味。
この湿原は6000~7000年もの長い年月をかけて作られた。尾瀬は東西6㎞・南北2㎞、東京ドーム約8,000個分の広さ。

特にこの湿原は、燧ヶ岳(ひうちがたけ)、至仏山(しぶつさん)、会津駒ヶ岳、田代山、平ヶ岳など、さまざまな山で囲まれている水流のど真ん中。それらを源流とする高層湿原。

その清き流れが水芭蕉を育てている。

清流が水芭蕉を育てる

川の流れに沿って水芭蕉が咲いている。

ワクワクしながら、水芭蕉に近づく

木道から降りてはいけない。残念だが、水芭蕉を守るため。

ワクワクしながら、水芭蕉に近づく

白い大きな花びらのような部分は、植物学的には花弁ではなく、葉が変形した苞(ほう)。(ホーニャン!)

②白い花を撮る時はホワイトバランス調整

カメラ、特に一眼レフカメラにはホワイトバランス機能がついている。状況に応じて設定することができる。天気が晴れ、曇り、雨、そして朝か夕方かなども光を調整できる。夕焼けなどもその機能を使うことで、美しい色を再現できる。

でも、面倒だったらオートに設定すればいい。
今のスマホは頭がいい。全てをスマホに任せれば光もピントもOK。しかもスマホは軽い。

白い花を撮る時はホワイトバランス

白い苞と黄色い花。陰影が深みを表現し、光が躍動感を演出。

並んで咲くのは家族だから

水芭蕉の白い部分が苞(仏炎苞)。水芭蕉の花は黄色い棒状の部分。その中におしべとめしべがある。そこから生まれる種が並んで流れて、自分の居場所に落ち着く。新しい家族として。

白い苞はまるで横浜にある帆船日本丸を思い出す。

並んで咲くのは家族だから。

主役は真ん中の水芭蕉。白を美しく撮るには陰影も必要。

「花びらは?」「ごめん、私は苞なの」

花は中心の黄色い円柱状の肉穂花序にあり、花びらの「びら」が肉眼では見えない。花びらは美しいという思い込みから、つい苞に心が奪われてしまう。

「花びらは?」
「ごめん、私は苞なの」
水芭蕉の会話が聞こえてきませんか?

花びらは? ごめん、私は苞なの

水芭蕉の黄色い部分、花びら4枚、めしべ1本、おしべが4本。

③水芭蕉を下から撮るので下半身を鍛える

尾瀬の水芭蕉は背が低く、木道の下で咲いていることが多いので、カメラを地面近くに持っていく必要がある。しかも、標高1,660mの尾瀬ヶ原まで歩いて行ける下半身を鍛えて、体の準備をしておく必要がある。

水芭蕉を下から撮るので下半身を鍛える

ハートフルな水芭蕉。「美しい思い出」「変わらぬ愛」
そんな花言葉にぜひ添えて欲しい一枚です。

自然を守る意義

尾瀬は誰が管理している?

東電HD。尾瀬国立公園は群馬県片品村、福島県檜枝岐村、新潟県魚沼市にまたがり、東電HDは全体の4割に当たる約1万6千ヘクタールを所有、管理している。

尾瀬は誰が管理している?

2,356mの燧ケ岳。山頂にオコジョに会うために登ったのだが、風が強く、オコジョを見つけることはできず、早々に退散。

尾瀬を守る人々

尾瀬国立公園

尾瀬を守った長蔵小屋の平野長蔵氏

2007年8月の尾瀬国立公園に指定されてから人間による破壊は激減した。しかし、近年、ニホンジカによる湿原や林内の食害や踏み荒らしも問題となっている。
湿原の美しさや、高山植物、湖沼などの自然環境は一度破壊してしまったら、元には戻らない。守るにはどうしたらいいか?
尾瀬に行く度に考えさせられる。

尾瀬ヶ原ダム計画を永住覚悟で守り続けた長蔵小屋の平野長蔵氏のように命を懸けて守った人を尊敬してやまない。

尾瀬を守った長蔵小屋の平野長蔵氏

尾瀬の歴史と未来

尾瀬の歴史

約数万年前に燧ケ岳が噴火して、只見川や沼尻川がせき止められて、尾瀬ヶ原と尾瀬沼が生まれたという説がある。
長い間、静かに眠ったように自然を営んでいた尾瀬。ところが人間、特に首都圏を賄う水量のために尾瀬を沈めて、ダムを作ろうという話が出た。国と東電が協力し、1919年にダム建設を着手。ところがもちろん反対派が出た。文部省と厚生省。そして、平野長蔵氏。彼が長蔵小屋に永住し、尾瀬を守ると宣言した。1966年、反対派の強い意見で尾瀬ヶ原のダム計画は延期。その後、1996年に計画中止と決定した。反対派の大勝利。

その後、東電HDは各自治体と尾瀬保護財団を設立。2007年には尾瀬国立公園として認定された。

尾瀬の未来

湿原の美しさ、高山植物、湖沼などの自然環境、そして学術的価値の高さ。尾瀬はこれからも守るべき価値ある存在。長い年月をかけて生まれたこの天空の湿原、日本最大の高層湿地帯だから。

湿原には、水芭蕉やニッコウキスゲ、ワタスゲなどの高山植物だけでなく、トンボや甲虫類も多様に生存している。未来にもこの大切な自然を残したい。

守ろうみんなで!

尾瀬を訪れる人々が足で踏み付けて、湿原や登山道周辺を荒らし、汚水等による水質や水生生物、植生の改変、靴底からの移入植物の進入など、生態系を破壊してしまう。
また近年、ニホンジカによる湿原や林内の食害や踏み荒らしも問題となっている。
これらの問題をどう解決するか? 
未来に尾瀬を残すために私たちが何をできるか?

平野長蔵氏の功績を高く評価し、日本全体で尾瀬を守ることが大切です。尾瀬の写真を撮りながら、そんなことを思った。

このブログは毎月1日と15日に更新。皆様の訪問を心からお待ちしてます。

尾瀬の魅力を知った後は、尾瀬の清流のお酒やドレッシング、尾瀬の天然水をご購入ください。必ずご満足頂けます。

尾瀬の雪どけ 純米大吟醸 桃色にごり 生酒


群馬 お土産 片品産えごまドレッシング


【ふるさと納税】尾瀬のおいしい水3ケース


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